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ビズブロ界のキーマンに聞く!:第4回 新着! 新築一戸建て住宅

オリジナルドメインでブログを構築しなかった理由は?

奥田義太郎さん

――浦和の新築物件を紹介するブログ「新着! 新築一戸建て住宅」を始めたきっかけを教えてください。

新築一戸建ての物件を写真付きでお客様に見てもらおう、興味を持ってもらおう、ということで、昨年7月から始めました。「ブログ」を初めて知ったのは昨年の3月で、「不動産blog☆ブログ同盟」主催のセミナーで教えてもらいました。

そもそも、一般の方は不動産屋に対して、あまりよくないイメージをもたれていたりしません?(苦笑) 店の前に間取り図がいっぱい貼られていて、お客様はそれを見てお店に入ってくるわけですが、実際にはなかなか中には入りにくいですよね。あと、実際に間取り図などを見せてもらっても、「この物件を逃すともうないですよ」なんて焦らされたり。

そういう悪いイメージを払拭し、お客様にもっと親近感を持ってもらおうということで、まずは私がログをHTML化してくれる日記ソフトをつかって個人日記をはじめ、のちにブログに切り替えました。その後、「ブログを日記だけで使うのはもったいない。何かもっとほかのことに使えないか?」ということで、物件の写真+現地に行かないとわからない情報を追加した不動産ブログ「新着! 新築一戸建て住宅」をスタートさせました。

――最近、不動産ブログをよく見かけるのですが、業種とブログの相性がいいんでしょうか?

(有)住ステーション浦和
(有)住ステーション浦和
さいたま市を中心とする不動産取引の仲介・
コンサルティングを手がける(有)住ステーション浦和の
公式ページ。
各種物件情報ほか、ローン計算や税金の話など
の各種コンテンツも充実。

そうですね。不動産は基本的に一点ものなので、日記形式で物件を1つ1つ個別に紹介するのに適しているのかもしれません。それに、もともと不動産業界は情報を共有化する傾向があり、独自のネットワークで出回った物件情報を仲介するという業態なので、インターネットとの親和性も高かったんじゃないでしょうか。もちろん全員が全員、というわけではありませんが。

――企業ブログの場合、オリジナルドメインを取得してサーバを借りて、というケースが多いと思うのですが、ライブドアブログ(レンタルブログ)を使っている理由は?

とにかく、実験的に始めてみようというのが最初にありました。「新着! 新築一戸建て住宅」は有料サービスを使っていますが、それでも月額換算のコストはわずか265円です。いまどこのレンタルブログを見ても、「5分でつくれる」なんて書いていますよね。大手企業なら資金も人材も豊富ですが、うちは物件情報の入力担当者と私(営業)と社長の3人だけ。最小の労力でブログを開設するには、レンタルサービスが最適だったと思います。

正直に言いますと、このブログは既存のテンプレートを使っているだけなので、デザインなどは商用とはいえない完成度です。ただ、記事の内容は不動産のプロの視点で書いているので、これをきっかけにお店に電話をしてもらったり、こちらまで足を運んでもらえればと思っています。大手企業のブログはうらやましいぐらい完璧に作られていたりしますが、うちは泥臭いイメージでもかまわないので、お客様に親近感をもってもらえるようなブログを目指していきたいですね。

実際に現地に行き、物件の写真や周辺情報を読者に伝える。

――ブログの内容を「新築一戸建て」だけに絞った理由は?

新着! 新築一戸建て住宅
新着! 新築一戸建て住宅
さいたま市(浦和~大宮)を中心とする新築一戸建て不動産情報を掲載。
物件そのものをさまざまな角度で撮影した写真ほか、
ファミリー向けに周辺のスーパーや学校情報なども詳しい。

新築一戸建て物件だけでも、「住ステーション浦和」(本サイト)にアップしている物件数が常時200件以上あります。本来なら、中古マンションなどの情報もブログで掲載できれば良いと思うのですが、これだけ数があるとさすがにすべての現場を回りきれなくて......。現状では、本サイトもブログもどっちも更新が追いついていない状態です。

このままだとどっちつかずになってしまうので、徐々に新着情報は写真つきでブログに掲載し、本サイトへの誘導という明確な役割を持つようになりました。一方、昨年11月から同じライブドアブログで「新着!賃貸 マンション&アパート」をスタートさせたのですが、さすがにブログを2つも運営すると、更新頻度は下がってしまいますね(苦笑)。

――ブログの更新はどのような手順でやっているのですか?

週に2回ほど、不動産屋のネットワークで図面(間取り図)が数百枚ぐらい送られてきます。そこから「新築一戸建て」をより分けてデータ入力担当者に回し、浦和で値段も手ごろな物件を抜き出してもらいます。そのリストをもらって私が、たとえばお客様のご案内をしたあとにバイクに乗って写真を撮りに行きます。

所要時間は1件につき1時間ぐらいですね。物件の内部は撮影できないこともあるのですが、とりあえず外観写真をいろんな角度で撮影します。一戸建ての場合はファミリー層がターゲットなので、たとえばスーパーが近くにないか、小学校や中学校はあるのかなど、その物件のアピールポイントとして周辺の環境を調べます。あとは会社に戻ってきて、この写真と一緒にテキストを書いてアップする、と。

本サイトの更新はずいぶんと時間がかかるのですが、新着情報をブログに移行してからは40分ほどで作業が完了するようになりました。できれば2日に1度ぐらいは更新したいところですが、飛び入りのお客様が来ることもあるので、なかなか毎日更新は厳しい状況です。これ以上更新頻度を上げようと思うと、ブログやホームページに業務の半分ぐらい関われる人がいないと難しいでしょうね。

――記事を書くとき、読者を意識して何か工夫していることはありますか?

親近感を持ってもらえるようにといっても、個人日記ではないのであんまり馴れ馴れしく書くのはよくないし、かといって単純に物件の詳細を載せるだけでは、通常のホームページと変わりません。物件を紹介する前振りとなる最初の数行で、写真を撮りに行ったときの出来事や感想を綴って、本文も崩しすぎず固すぎず、というテイストで書くことを心がけています。いま、2つのブログを更新していますが、私自身はもともと賃貸物件の担当なので、「新着!賃貸 マンション&アパート」の最初のコメントのほうがどうしても饒舌になりがちですけど(笑)。

小さな会社だからこそ、ブログを武器に「地域密着」で勝負。


新着!賃貸 マンション&アパート
新着!賃貸 マンション&アパート
「新築一戸建て」ブログと同じく、本サイト
「住ステーション浦和」への誘導を目的とした新着ブログの賃貸版。
間取りや立地など、不動産営業マンの視点でわかりやすく解説されている。

――ブログ導入以後、その宣伝効果の手ごたえはどう感じていますか?

それは、そうすぐには現れないか、と(苦笑)。ただ、アクセス数は着実に増えていて、いまはだいたい1日300~400ぐらいで落ち着いています。本サイトもだいたい同じぐらいですから、ブログはなかなか健闘しているということでしょうか。新築物件を紹介している支店(ブログ)から本店(本サイト)にジャンプして、ほかの物件を見てくれているんじゃないかと思っています。

やはり検索エンジンからのアクセスが圧倒的に多いですね。ブログはSEO【註】と相性が良いというのは通説ですが、弊社のブログもグーグルで「新築一戸建て」検索すると1ページ目の上から4番目、「浦和」を加えれば一番上に表示されますから。(※2月21日現在)

ただ、残念ながら、お客様からトラックバックされたり、コメントが付くということはほとんどありません。あと、「ブログを見たので、この物件を紹介してください」という問い合わせも、今のところまだないんです。インターネットやブログが強力な宣伝ツールになる可能性はあるとしても、それが最終的な成約の決定打にはなりません。結局は、お客様と営業マンのやりとりで成約に結び付けていくしかないし、ブログはその手助けをしてくれるものだと捉えています。ブログばかりに力を入れて、逆に成約数が落ちてきたら本末転倒ですよね(笑)。

――なるほど。それらを踏まえたうえで、今後ブログを改良してみたい点や目標はありますか?

更新がいっぱいいっぱいといいつつ、もし可能なら本サイトに誘導する子どもはいっぱい増やしたいんですよね。うちは事業者のお客様も結構いるので「賃貸事務所ブログ」があってもいいし、それこそ細分化すれば「中古マンションブログ」や「土地ブログ」なんかも。これらは物件自体が少ない=情報そのものが少ないので、あまり更新できないかもしれませんが。

あと、いま「@dream2000」(不動産業界初の営業支援システム)を使っているんですが、これによってデータベースに入力された情報が本サイトに自動的にアップされるようになっているんですよ。このおかげで、扱える物件の数が飛躍的に増えました。この仕組みをブログに利用できれば、ブログの更新ももっと楽にできるんじゃないかな、と。いや、これはぼんやりとしたイメージでしかないのですが。

(有)住ステーション浦和 熱田光代取締役社長
奥田さんの左隣が、(有)住ステーション浦和の熱田光代取締役社長。
総勢3人で会社を切り盛りしており、
それぞれが個人で日記ブログをもっている。

――ちなみに、地域性というか、都心から少し外れた浦和だからもうちょっとインターネットがんばってみよう、ブログをがんばってみようみたいな意識はありますか?

私個人としては、そういう思いはあります。都心に本店のある大手企業はお金も人もありますし、お客様はどうしても知名度の高い不動産屋の支店に行ってしまいます。つまり、大手は「大手の顔」があるわけです。でも、うちみたいな小さな不動産屋は「こういう営業マンがやっています。こういう人がやってます」というのをアピールするためにブログをやっているんですね。小さな会社だけど地域に根ざして、お客様がその場所の物件を探しているとき、「この不動産屋だったら大丈夫だろう、任せられるだろう」と思ってもらえるようなブログになればいいな、と思っています。

【註】SEO(Search Engine Optimization):GoogleやYahoo! JAPANなどのサーチエンジンでキーワード検索されたとき、自分のWebページが上位に表示されるようする対策や技術。

取材/文:宮脇 淳(ノオト)


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